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いや、待てよ、彼女が必ずしも僕の方向に向いているとは限らないわけだから・・・
仮に彼女の向きを8方向として・・・
150×8=1200
いや、さらに、彼女がこの電車に乗る確率を考えると・・・
1/1144000
ええ、そんなに減るの・・・
上野はここから、確率との格闘が始まった。
さらに翌日、上野は奥野と野球を観戦しに行った。
奥野「観戦はやっぱり外野だよね」
上野「野球は確率のスポーツだからね、これは見逃せないよ」
その時、打者の放った打球が、上野がいる外野へ一直線、ボールは見事に上野の手元に入って行った。
奥野「公介!スゴーイ!」
気がつくと周りには、上野を称える拍手が鳴り響いた。
上野が照れている中、
ブーン
またしても、装置が作動した。
上野は装置の振動で気づき、恐る恐るメーターを見つめた。
(5453100)
1/3402900
減ってる、確実に・・・
上野は悲鳴を上げながら、外野スタンドの出口に消えて行った。
「なんだ?ホームランで怪我したのか?」
さらに数日後、大学近くの道を歩いていた時のこと、上野が交差点に差し掛かったとき、乗用車が猛スピードで上野の元へ突っ込んできた。
上野はよけることが出来ずに、そのまま衝突、数メートル先に飛ばされてしまった。
しかし、飛ばされた先にはクッションを運んでいた台車の上に着地し、さらに身構えた勢いで足を折り曲げ、着地をした姿は、まさに正座であった。
その姿に、周囲から思わず拍手が飛び混じった。
しかし、上野の表情は暗い。
上野はすぐさまカバンの装置を見た。
震えている、動いている。
メーターを見ると、
(1214500)
1/4238600
うわー!・・・もうだめだ・・・
上野は放心状態で道を歩いていた。
老人「だいぶ、応えているようですな」
上野「ああ・・・」
上野の前に、あの老人が姿を現した。
上野「あの、僕、一体どうしたら・・・」
老人「そうですねえ、一つ、ヒントをあげましょうか」
上野「ヒント?」
老人「確率の最小数値は?」
上野「そりゃあ、1分の1でしょう」
老人「ふむ、しかし、事に絶対は無い、ということで、目指すのは、2分の1」
上野「2分の1?」
老人「そう、つまり半分の確率になるように考えるんだよ・・・」
半分・・・・しかしどうやって・・
老人「それじゃ、あと少しだ、頑張ってな」
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