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ジョンの見つめる先に目をやると、木々の間に見えたのは、白。
それは視界いっぱいに広がる白濁した水の色だった。
急に開けたその場所は、木々に遮られることなく日の光が降り注ぎ、水面がキラキラと輝いている。
「綺麗なところ」
アイリーンは思ったままを口にして、頬を緩ませた。
水の色どころか、浮かんでいる水草や、その上に見える花までもが白一色。
水辺の草は見慣れた緑色なのだが、大きくしなり、水に浸っている葉の先は半分白く変色している。
白に染め上げられた光景は単純に美しかったが、しばらく眺めているうちに、アイリーンをどこか不安にもさせた。
「さっきの男は、ここに来るのを嫌がっていたのか?」
ダグラスが言うと、ジョンは頷いた。
「この沼には恐ろしい女が住んでいるから、近づきたくないんだとさ」
「そんなのがいるんだったら、俺たちだって近づきたくないよ」
ロビンは慌てて言ったが、すぐに気がついて、目を見開いた。
「まさか……ジョンの言う『あて』っていうのが、その……」
「そうだ。
さあ、行くぞ」
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