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「私と……同じ」
アイリーンが呟く。
ロビンも慌てたような声を上げた。
「なんで、ジョンにも痣があるんだ。
そんなの俺も聞いてないぞ」
ジョンは何も言わなかった。
まるで他人事のような顔で一同を見回してから自分の胸の痣を見て、たった今気がついたとでもいうように首をかしげるばかり。
どう考えても、そんなはずはないのに。
そんなジョンの様子に、アナベルだけは嬉しそうに微笑んだ。
「あら、またジョンは適当な事を言っていたのね。
いったい、皆さんは今度のことをどう聞かされていたのかしら?」
と言って、ニヤニヤ笑いを浮かべたが、誰かが答えるのを待つでもなく続けて言った。
「人魚に追いかけられているのはね、自業自得なのよ」
アナベルは椅子に戻ると、優雅に腰を下ろした。
ジョンもそれにならって、もぞもぞと座り直す。
みんながアナベルの次の言葉を待つ間、室内はしんと静まり返った。
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