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彼女は人としての生活を捨て、鬼として生きる道を自ら選んだ。
それは事実だ。
けれども16年間育まれた〈水無瀬あやめ〉という人格は消えてはいない。
それどころか、どういうわけか完全に覚醒してからもう半年近く経つというのに、〈雪花〉でいる時間よりも〈あやめ〉である時間の方が圧倒的に多いのだ。
完全なる鬼の雪花であれば、人間の食べ物など口にせずとも生きていける。
だが、この弱り様は―――…
「帰りたいですか?斎の宗主の元に」
朱羅の言葉に、あやめはきつい眼差しを投げた。
帰れるはずがない。なのに何故そんな意地悪を言うのかと、その瞳は責めているようだった。
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