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『どうして私を呼んだの…?私に、何をして欲しいの?』
問い掛けても、応えはない。
ただゴボゴボとくぐもった水音がするだけだ。
どうするべきか考え、懐にしまってある笛の事をハタと思い出した。
---そうだ。あれを使えば、浄化出来るかもしれない。
長い間使っていなかったが、あの笛の音には感情を操る作用がある。
とはいえ、相手はすでに人ではない。
凝り固まった残留思念にどれほどの効果があるかは分からないが、少なくとも試す価値はあるだろう。
刀祢は横笛を取り出すと、早速それを吹いてみた。
ずっと昔に紫月から教わった曲の一つ。
遠い故郷を偲ぶ曲。
優しくて、それでいて少し物悲しげな旋律が、静まり返った校舎の空気に溶ける。
同じ曲を三度繰り返して終え、ふと目を上げると、窓辺にもたれかかるようにして一人の少女がこちらを見ていた。
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