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『謝りたいの、お母さんに。勝手に死んじゃったから、ごめんねって』
彼女はいじめを苦にして自ら命を絶ったものの、皮肉な事に、学校で起きた事に対する恨みや苦しみが強かったせいか、魂が学校に縛りつけられてしまった。
死ぬまでは自分の事ばかりで頭が一杯だったが、死んでからようやく色々な事に考えが及ぶようになり、女手一つで自分を育ててくれた母親の事が気掛かりになった。
しかし、いくら試してみても学校の外に出る事は叶わず、そうしているうちに時間だけが過ぎていった。
『悲しくて、苦しくて、どうしたら良いか分からなくて…気がついたら人間の姿ですらなくなってたの』
刀祢は少女の独白を沈痛な面持ちで聞いていたが、聞き終わると、微かな笑みを浮かべて再び笛を手に取った。
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