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「これから先、あの方にはきっと数知れぬ苦難が待ち受けている事だろう。私には、もうお助けする事は出来ないが」
「……私に、そのお役目を引き継いで欲しいというのですね」
--本当に、優しい顔をして厳しいのだから。
諦めたように、刀祢はふぅと息を落とした。
「生きる事には、正直もう疲れています。この世に、何の未練があるわけでもありません。ただ……」
刀祢も同じく、あやめに視線を移す。
そして恋人が長年仕えた美麗なる主人を見て、少し眩しそうに目を細めた。
「ただ、あなたが御前を思う気持ちも分かります。あなたが残す未練を、あの方をお助けする役目を、私が引き受けましょう」
「……再会は、しばし先だな」
「ええ」
紫月の姿は、もうほとんど色を無くしていた。
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