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「そなたは、似ている。似すぎていて…恐くなる」
「……?」
秋人が分からないという顔をする一方で、少し離れて佇んでいた宗一は、ハッとしたように朱羅を見た。
それから彼と同じように、その視線を秋人へと向けた。
(…やっぱり君もそう思っていたんだね、朱羅)
凛として佇む斎家の宗主に、二人は別の面影を見ていた。
おそらくそうだろうと---最初に彼を見た時から、宗一も朱羅と同じ推測を抱いていたのだ。
因果な事よと、ため息をつくような想いで。
「ずっとずっと昔、君の先祖に、君によく似た人がいたんだ。雪花御前と約束を交わした人間がね」
付け足された宗一の言葉に、朱羅は少し眉をひそめる。
まるでその様子は、思い出したくないものを思い出しているかのようであった。
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