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『その出来事』とは、一体何を指しているのか。
彼らがそれを口にしない以上、秋人が知るすべはない。
おそらく、雪花の過去に起きた…そして彼女の生死を左右するきっかけとなるような、大きな出来事だったのだろう。
「俺が、あやめと共にいる事で、過去が繰り返されるとでも言いたいのか?例え俺が初代宗主に似ているとしても、ただそれだけの事だろう」
「ただ似ているだけ、か…」
宗一はその言葉に苦く笑う。
自分たちだとて、そう思いたい。
ただの杞憂だと、考え過ぎて過敏になっているだけだと。
だが、それだけで片付けられない朱羅の気持ちもよく分かる。
最愛の者を失った恐怖が再び訪れるのではないかと、それを危惧する気持ちは分かるのだ。
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