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ぼんやりとした意識の中、ふっと目の前の闇が濃くなった気がした。
「あ…」
唇に、冷たさが降る。
ひんやりとした柔らかい感触と同時に、何か甘いものが喉の奥へと流れ込んでいく。
「―――ん…っ」
息が上手く出来なくて一瞬顔を背けたものの、すぐにまた唇は塞がれた。
―――ゴクンッ
無理矢理流し込まれたものを、あやめは何とか飲み込む。
ゴクン―――ゴクッ…
体が甘く痺れていく。
以前にも味わったこの感覚を、あやめの体は覚えていた。
けれども、このところ繰り返し浅い眠りをたゆたっている彼女には、これが夢なのか現実なのかすら理解出来なかった。
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