孤独の幻影

8/21
前へ
/334ページ
次へ
「僕もまた、約束によって御前と繋がっている…斎の宗主と同じようにね。けど、君は違うでしょ?」 「……そなたに話す必要はない」 短く告げて、赤い鬼は階段を下った。 残された宗一の髪に、淡い月光がさらさらと降る。 「君が囚われているのは、約束なんかじゃなくて―――…」 その呟きを聞く者はない。 青い瞳に、ゆらゆらと白い月が揺れていた。  
/334ページ

最初のコメントを投稿しよう!

599人が本棚に入れています
本棚に追加