和希の誕生日

【愛由美】

もうすぐ和希の誕生日だ。

お祝いしたいな。

プレゼントは嫌がるかな、和希に聞いても物欲ないからきっと「いらない」って言うだろうし。

でも、初めての誕生日はお祝いしたいなぁ。

どっかご飯でも食べに行こうかな。

あーでも。和希、私がお金払うの嫌がるからな。

私が年上風吹かすの嫌がるんだよね。
実際年上だし、社会人だし、全然いいのに。

結局新しいマンションだって、家賃は半分和希のお母さんの三恵子さんが払ってる……気を遣ってか、度々野菜も届けてくれる。
申し訳ないよ、和希、自分でアルバイトでもすればいいのに。

だから余計に、祝う相手が払ってまで外食にしなくてもいいよね。

そうだ、家でお祝いしよう。

ちょっと手の込んだご飯作って。
ケーキも用意しよう、作ろうかな……。
映画借りてきて、朝からずっと観て過ごすの。
お菓子とビールも買って来よ、その日は外出しなくてもいいように……。

じゃ前の日には仕込みを終えて、その日はずっとそばに居られるようにしよう。

ずっと和希の体温を感じていられるように。

和希、喜んでくれるかな。