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「ねえ、アレ見て。」
麻紀が指さしている。そこにまた手押し車がある。
「別のでしょ。」
トンネルの手前にあったものが進行方向の先に見えるはずがない。私たちを追い抜いた車もいないのだ。そもそも追い抜けるような道幅がない。
「違うよ。さっきのだって。蓋のところが破れていたのを覚えてる。それに色も同じ。」
麻紀が同じものだと主張する。今度はふたが開いている。もし中に何かいたら、そう思うと怖くなって早く通り過ぎるのを待った。
「気のせいだよ。あんなの全部同じに見えるだけだって。」
多賀も原田も私に同調して麻紀の勘違いだと言った。
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