トンネルに棲むモノ

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カーブがなくなり道が直線になったのでスピードを上げた。 突然、バンッと大きな音がした。車は急ブレーキをかけて止まった。 「な、なに?」 キョロキョロ見回した。車内からだと前方しか見えない。 「これ…………」 全員の視線がフロントガラスに集まった。 そこに両手の手形がくっきり浮かび上がっていた。まるで外から押したような手形が。 ワイパーを最大に動かして、国道まで無言だった。 ボンネット越しに手形をつけようとすれば、そこに上るしかないと気が付いたのだ。姿が見えぬ何かがそこにいた証拠を私たちに見せつけたようで怖かった。 遊び半分で心霊スポットにいってはいけないと身に染みた体験だった。 了
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