トンネルに棲むモノ

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結衣と沙織を店の駐車場で見送った。私と麻紀は多賀の車の後部座席に乗せてもらうことになった。 多賀の車は新古車のステーションワゴンだ。前の二人は今度、高知にサーフィンに行く予定だと盛り上がっていた。 適当に車を流していてもつまらないと原田が言い出した。どこへといっても思いつかず、私と麻紀は任せるからと行く先を提案しなかった。 「この前、友達に聞いたトンネルにいってみたいけど、流石に一人はちょっとアレだし、今から行ってみようよ。」 原田が言い出したトンネルは、心霊スポットで有名な場所で名前は知っていた。 そこは珍しい手掘りのトンネルで、現在はほとんど使われていない。 トンネルの入り口にお年寄りが押すような手押し車があるとか、白い服の女の人が手招きをしているなど、心霊話によくあるような話しか聞いたことがなかった。
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