トンネルに棲むモノ

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「そこって、怖いところだよね。」 運転手の多賀に行かないよねという期待を込めて確認してみた。 「どうせ暇だし、みんなで行けば怖くないって。」 麻紀は原田の提案を否定する気はないようで、ニコニコ相槌を打っているだけだ。ここで絶対いやだと拒否するのは雰囲気が悪くなる。じゃあいいよ。と行くことになった。 コンビニへ寄り、飲み物を買ってトイレを済ませて目的のトンネルへ向かった。 数分走ったくらいで雨粒がフロントガラスを濡らし始めた。ワイパーがいるかいらないか微妙な雨だが、そのおかげでトンネルに着いても外に出ようと言われなくて済みそうだと密かに思った。 30分くらいでトンネルの近くまで来たが、そのトンネルに向かう脇道がなかなか見つからない。車1台が通れる道幅しかない細道がそのトンネル行きだと分かるまで10分以上その辺を探した。
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