トンネルに棲むモノ

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やっと脇道に入った時には、雨は上がり霧がだんだん出始めていた。 車のスピードをかなり落として運転していた。カーブが続き、道の脇は崖になっていて木々が鬱蒼と覆いかぶさってきている。 さっきの雨のせいで枝からボタボタと水が車の屋根に落ちてくる。スピードが緩やかなのと、周りの音が静かなせいで、水が落ちてくる音が私たちの恐怖心を煽った。 「ちょっと怖いよ。街灯もないし、霧で危ないよ。」 私の意見にみんな無言で頷いた。 だからといって旋回出来る場所はなく、山なのであっという間に霧が立ち込め、ほんの数メートル先が確認できないほどになった。 フォグランプをつけて、ほとんどアクセルなしで進むしかなかった。 「もうこのままトンネルを抜けて反対側から帰るしかないよ。ここで引き返すほうが怖い。」 運転している多賀の意見はもっともだ。道の右側は崖だ。崖から木が伸びていて、底までどれくらいあるのか全く分からない。もし、落ちたら民家もない山の中で気付いた時は全員手遅れかもしれないと怖くなった。
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