トンネルに棲むモノ

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ここまで来てしまった以上、トンネルを抜ける他ない。幸い道路はアスファルトで舗装されている。道幅3.5mの標識がそばにある。Uターンできないのだ。 「対向車が来たら困るし、さっさと抜けよう。」 心霊スポット巡りというより、ただの罰ゲームのようだ。早く終わらせて元の国道まで出たい。誰もがそう思っているに違いなかった。 入口にゆっくりと近づくにつれ、内部が見えてきた。手掘りトンネルなのでヘッドライトがあたると、壁の凹凸が影を作っている。中に照明がなく、向こう側の闇がトンネルの輪郭で分かるだけだ。 「トンネル突入!」 原田が恐怖を紛らせるように大きな声を出す。みんな前を向いたままだ。左右や後ろに何か得体のしれないものが見えてしまうかもしれない恐怖を少しでも感じなくするためだ。
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