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真っ暗で不慣れな廊下を手探り状態で進む。
「あれ……?」
ある部屋から、微かに明かりが漏れている事に気付いた。
今この家には僕ら以外誰もいない筈……
気になった僕は、そっとその部屋に近づき、ドアの隙間から中を覗いてみた。
少しだけ開いた、そのドアの向こう側に見えたもの――
それは、薄明かりに照らしだされた、美しい少女の横顔だった。
静かにページをめくる、白く細い指。
仄かな光に照らされた顔と、その伏し目がちな瞼が、少女により儚げな印象をもたらせている。
どうやら読書に夢中になっているらしく、こちらに気付く気配はない。
僕は思わず息を飲み、暫くの間身動きが取れなくなった。
その横顔は、瞬く間に僕の心を虜にした。
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