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僕はとうとう、彼女の事を由也に切り出した。
「なぁ。お前、妹がいるよな?」
それを聞いた途端、彼は怪訝な顔をした。
「あ……? 何だって?」
「いや……実は、見たんだ。お前の家に、凄く綺麗な女の子がいるのをさ。だから」
「どういう事だ? どこで誰を見たって?」
由也は険しい顔つきで、問答無用に切り込んでくる。
彼の反応を見て、どうやら僕は迂闊な事を言ってしまったのだと、その時初めて気付いた。
「ご、ごめん! 前に泊めてもらった時、彼女の部屋のドアが少し開いてて明かりが漏れていたものだから……その、つい。でも本当、顔半分がたまたま少し見えただけで」
「半分……」
僕の言い訳を聞いた彼は、少し間を空けてからこう言った。
「お前、夢でも見たんじゃないのか?」
「は?」
それは僕にとって、余りにも意外な言葉で。
「い、いや夢なんかじゃ……」
「うちには妹なんていない」
由也はきっぱりとそう言い切った。
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