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「え、だって……あ、実は妹じゃなくてお姉さんとかって、そう言うオチ?」
「だから! 今あの家には俺一人だって、ずっとそう言ってるだろ!」
僕は思わずビクリとした。
いつも温和な彼が、こんなに声を荒らげるなんて。
「あんまり変な詮索をするようなら、金輪際ウチへの出入りは止めてもらう」
「わ、分かった。分かったよ、ごめん」
けれども、由也のその態度が、より一層僕を疑心暗鬼の中へと駆り立てる。
彼は何かを隠している。そう思わざるを得ない。
今日もサークルの打ち合わせと称して、由也の家へ行くつもりだったが、何だか妙に気まずくなってしまった。
馬鹿だな僕は。こんな事なら聞かなければ良かった……
由也とは、すでに親友と呼べる程親しくなっていたと言うのに。
そんな後悔からか、僕は彼の家のリビングで浴びるように酒を煽ってしまい、その勢いを借りて彼に何度も詫びを入れた。
そんな僕を、由也は笑って許してくれていたように思う。
飲んだくれた僕は、そこから一歩も動けなくなり、そのままリビングのソファで眠り込んでしまった。
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