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青春を取り戻した男は、これからの華やかな日々を想像し、ニヤニヤと笑みを浮かべた。少し前までは、ベッドに力なく横たわり、今日までの日々を後悔していたのだ。やりたいことはいくらでもある。
こうしてはいられない、と男はさっそく行動に移ろうとした。ところが、それをすぐに死神が制止する。
「お待ちください。残念ながら、今のままでは難しいかと思われます。確かに身体は若返りましたが、ガンなどの病が治ったわけではありませんので……」
「何だと? それはどういうことだ。四十歳まで生きられると言ったではないか」
男は声を荒げるが、死神は当然のように頷く。
「ええ、最長で四十歳まで生きられます。しかし、あなたの状態や行動次第では、いくらでも短くなるわけです」
「そういうカラクリか! よくも騙したな!」
詰め寄る男に対し、死神は慣れた様子でなだめるように言った。
「まあまあ、どうか落ち着いてください。これは当然の理屈、摂理でございます。決して騙したわけではありませんし、そのような意図もございません。そこで、また一つご提案があるのですが」
「……何だ?」
不満そうにしながらも、男はひとまず先を促す。死神は言った。
「いかがでしょう? 寿命をさらに半分支払って頂ければ、ガンの完治も含め、理想的な健康体にして差し上げますよ」
「さらに半分……つまり十年ということか。しかし、それ以外に方法もあるまい。本当に騙していないだろうな?」
「何度も申し上げている通り、死神は……」
「分かった、分かった。嘘をつかないというのだろう。もういいから、それで頼む」
いまいち釈然としないが、話をのまないわけにはいかない。死神の笑顔を憎たらしく思いながら、男は渋々取引に応じた。
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