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「まあ、そうですね。いくつかお勧めしたいオプションはございます」
そう言いながら、死神はどこから取り出したのか、死神安心保証と書かれたパンフレットを男に見せた。そして、オススメと書かれた部分を指差して読み上げる。
「せっかく若返って健康な身体を得ても、先立つものがなければ何かとお困りでしょう。大金が欲しくはありませんか? 青春を謳歌しようにも、あなたがうまく女性と関係を築けるとは限りません。魅力やカリスマ性、欲しくはありませんか? いくら健康でも、不運な事故によって寿命を全うできない可能性もあります。事故やトラブルを回避できる幸運、欲しくはありませんか?」
死神は男にパンフレットを渡すと、胸を張って言った。
「他にも様々なケースが想定できます。しかし、それらは全て、それぞれ寿命を半分支払えば解決できるのです。抜かりはありません。徹底したサポートをお約束いたしますよ」
渡された分厚いパンフレットのページをめくりながら、男はうなだれる。
「……何ということだ。こんな調子では、寿命が少しも残らないではないか……」
すると死神は、また例の人のよさそうな笑顔で、にこやかに言った。
「いえいえ。心配はいりません。あくまで代価は寿命の”半分”ですから、決してゼロになることはありませんよ」
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