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僕は自慢げに言ってやった。
「写真だったらどうだ、君たちは朝なのか夜なのかすら分からない。
しかし僕は一目瞭然だ!」
あちこちで各々が話し出し騒がしくなった。するとインテリ風の懐中時計が
パンパンと手を打ちながら立ち上がった。
「静粛に、みなさんお静かに願います」
一同が彼に注目した。
「あなたは、あなたの半分しかない私たちではなくご自身がメジャーである、と
そうおっしゃりたいのですね」
「その通りです」 僕は大きく頷いた。
「ですが、あなたの短針は一日一周回るだけです。私たちは二周します。
要するにあなたは、私たちの半分しか働いていないのですよ」
歓声が上がった。そして言い返す言葉を見つけられない僕は、黙って下を向いた。
【終】
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