右大臣の娘として。また、左大臣の長男の妻として

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他に何人女がいようと、遊びなら目を瞑ろう、 知らないふりを通そう、誇り高く、堂々としていよう、 右大臣の娘、左大臣の長男の妻として! 必死で歯を食いしばって頑張って来たのに!! …だから、どんな女か見てみたかったの。夫を本気にさせた女とやらを。 信頼出来る侍従を使って、調べさせたわ。 …その女はね、身分はハッキリしないけれど、大層魅力的らしいわ。 得体の知れないところもまた、神秘的で謎めいていて、 男心をくすぐるんでしょう。 一見すると儚げで、折れそうなくらい細くか弱い美女。 でも、知識・教養は中々で。 しかも、どうやら胸が非常に大きらしいわ。 肌も真っ白で吸い付くような餅肌みたい。 儚げで、色気たっぷり…しかも頭も良い。 俺が守ってやらねば!て感じか。 男なら、虜にならない奴はいないでしょうね。 まぁ、女からは嫌われるわね、女の敵だもの。 だって、夫はまず、寝盗られる訳で…。 悔しいから、侍従に牽制をかけさせたわ。 「なんという厚かましい女じゃ! 右大臣の姫君の主人に色仕掛けで取りいろうなんて!! 何を企んでいる??」 てね。 その女、どっかへ逃亡しちゃった。 ヒドイ女?そうね、その通り。 夫もこの件で益々私から引いてしまったわ。 だって、 そうでもしないと夫は益々私から遠ざかって、 その女に愛情を注いじゃうもの。 その女との間に、子供なんかできたら、その子が男でも女でも 私は追い出されてしまうに決まってるもの。 まだ、引いてくれてる方がマシよ。 この件以来、夫の女関係は気にしない事にしたの。 夫は出世欲に燃えているわ。正妻である私も、協力しないとね! 私は右大臣の娘。左大臣の長男の妻よ! 生涯、その務めを果たすわ!! 夫の子供達も、未来へと続くように、 子孫が繁栄していけるように協力する事。 それが、私の役目。 夫は最終的に「太政大臣」にまで上りつめるの。 彼が引退したら、夫婦でのんびり過ごせたら、素敵ね。 これくらい、夢見ても良いわよね。 …愛しています。夫に素直に言えたら良いのだけど、 彼は私に愛される事、別に望んで無いみたい… だからね、半分だけ。 半分だけ、愛情を示す事にしてるの。 残りの半分は、自分の役割を果たす任務に注ぐわ。 …愛半々… これが、作者である紫式部も知らない、私の本音。 「愛半々」 これが、私の生きる道。 ~完~ image=505804963.jpg
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