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もう一つは、良成の事件の一週間後の記事だ。
別の町で、少女を襲おうとしたところを巡回中の警官に取り押さえられ、現行犯で逮捕された男の記事だ。男は良成の事件への関与を認めており、犯人逮捕、と大々的な見出しで載っている。
そして、既に裁判では死刑宣告を受けている。その後のことは知らない。死刑が執行されたのか、されていないのか。
そう、あの事件の犯人は既に捕まっていて、とっくに解決を迎えているのだ。ただ不明なのは、良成の半身だけ。
男は河原に凶器と共に死体を捨てたという。だが、河原に血の痕はあっても、凶器も死体もなかった。
当然よ。肉を削いで、骨を河原で綺麗に洗って持ち帰るのに苦労したのだから、そう簡単にばれては困る。凶器も、良成の半分も、今は私の手の内にある。
押し入れの中の、古い体育袋の中には、バラバラになっているとはいえ、いつでも彼がいる。誰にも渡さない。そして終わらせるものか。
良成、ずっとずっと愛してる。あなたの半分は私のもの。あなたの魂は、体を持ってる私のもの。他の誰もあなたを繋ぎ止められない。
この劇は永遠に終わらせない。主演は私とあなただけ。
だから、一緒に踊りましょう? 私の愛が朽ちるまで。
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