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6つに分けたイチゴのショートケーキの絵が描かれていて、一つが円で囲まれている。
問題4「円で囲まれたケーキ1つの事をなんて数えますか?」
問題3までの数え方では通用しないと分かった。胸の奥がざわめき、突然怒りが沸き上がった。負けちゃいけないと思った。意地でもいままでと同じように答えてやる。
「半分と半分を3つに…」「半分をもう一回…」
抗った。
それでも覆すことはできなかった。もういいや。テストじゃないんだ。テストじゃないんだよな。自分に言い聞かせた。
「6つに切った1つ」
と書いた。
テストではないと言われたけど、いままでのどんなテストより難しかった。もう考えないようにしよう。校庭から楽しそうにはじける声が聞こえた。はやくドッジボールがしたいなぁ。日が傾きはじめている。はやく行かなきゃ遊ぶ時間がなくなってしまうよ。
このアンケートから数日後、分数の授業がはじまった。
いまなら、2分の1、4分の1、6分の1、8分の1、と答えることができる。それでもずっと違和感が残っている。
果たしてリンゴをちょうど2分の1にできるものだろうか。大きさ?重さ?味は?全部均等に2分の1なのだろうか。それをさらに2分の1にして4分の1にしたら…、もっと均等にするのは難しいだろう。
「おい。聞いてるのか?」
「あっ、はい」
目の前には部長が座っていた。しっかりしてくれよ。と言いたげだ。
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