【Bのヤツ】

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「何だ、A。 相変わらず、眠そうだなぁ!」 Bのヤツがニヤニヤしながら俺に言って来た。 「まあな…。ふわぁ」 と、俺は大アクビをする。 ここんとこ、ぐっすりと眠れない日が続き… 俺は、慢性的な寝不足状態。 それに引き換え… Bのヤツは、相変わらずのハイテンション。 全く… どうして、ヤツはいつもこんなに元気なのか…。 俺とヤツの生活リズムは、そんなに変わらないと思うのだが…。 まあ、これも性格の違い…人間のタイプの違いというやつか…。 Bの、いつも能天気でハイテンションな性格が…俺は、どうも苦手だ。 俺とB… 以前は、お互いをかたくなに認めず、様々な場面においてライバルの様な関係だったのだが… 「なあ…Aよ。 よく考えたら俺達、いつもこうやっていがみ合ってるけど、こんな事してもお互い嫌な思いをするだけだよな。 世の中、いろんなタイプの人間がいるからこそ、面白いってもんだぜ。 認め合う事も、時には大事なんじゃないかな」 と、先日、 Bのヤツの方から態度を軟化させて来た。 まあ、 確かに、それはそうだろう…。 その点においては、俺も同感ではあるが…。 「Aよ。例えばさ…。 俺が、カフェラテが大好物なのは…お前も知ってるよな」 「ああ…それがどうしたんだ?」 Bの言葉に、俺は気の無い返事を返した。 全く…ヤツは、よくあんな甘ったるい物が飲めるものだ。 俺は断然、コーヒーはブラック派である。 ミルクを飲む時も、何も混ぜずにミルクだけで飲む方がずっと美味いと思う。 Bのヤツは、そんな俺をお構い無しに話を続ける。 「さて。 カフェラテの中には、コーヒーとミルクが入っている訳だが… コーヒーとミルク、どういった割合で混ぜ合わせれば、一番美味いと思う?」 「え?」 俺は、少し考えた。 「そんなの…人によって、それぞれだろ」 「まあ、そうだよな」 Bのヤツは、面白そうに笑う。 「たださ。 ミルクの割合が、あまりに多いと『カフェラテ』というより『コーヒー牛乳』って感じになっちまう。 かと言って、コーヒーにミルクを数滴たらした程度では、これはこれで『カフェラテ』とは言い難いよな」 「………」 コイツは… 一体、何が言いたいんだ?
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