9years summer

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「これあげる」  駄菓子屋『ばば屋』の外にあるベンチで健太を待っていた時のことだった。突然、知らないセーラー服のお姉ちゃんが右手に持っていたアイスをオレに差し出してそう言った。 「え、くれるの? なんで?」 「だって食べきれないし、溶けちゃうともったいないでしょ。だから、はい、半分こ」  それはコーラ瓶みたいな形のチューブが2つくっついているカフェオレ味のシャーベットアイスだった。これ、なんて名前のアイスだっけ。  というかオレ、今ガリガリ君を食べたばっかなんだけどな。  とにかくそのお姉ちゃんはアイスをくれるらしい。  母ちゃんには知らない人から物をもらっちゃダメだと口を酸っぱく言われていたけど、今日は今年一番の夏真っ盛りの炎天下ってやつ。だからもう汗だくだくで、さっきアイスを食べたばかりなのに喉がカラカラだったから、オレは素直にその半分このアイスを受け取った。  それに健太の兄ちゃんも言ってたしな。『すえぜん食わぬは男のはじだ』ってさ。
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