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オレは先っぽの部分を切り取って、チューブの先をかじる。シャリっという音とともに、心地よい冷たさと甘いカフェオレの味が口の中に広がった。
お姉ちゃんもオレの隣に腰掛けるとアイスをひと口吸うとため息を零した。
「はぁ、アイス美味しいね」
「うん」
こくりと頷くとお姉ちゃんが微笑んだ。その表情を見た瞬間、思わずドキッとして慌てて目を逸らした。よく見たらクラスの女子なんか比べ物にならないくらい美人だ。
ドキドキと鳴る胸をなんとか落ち着かせようとして、アイスにかじりついた。冷たいかたまりが喉を通りすぎると、気持ちが楽になった。やっぱオレってすごいかも。これが父ちゃんがよく言う『しょせい術』ってやつだ。
「ねえ」
「ん?」
「お姉ちゃんって、いわゆる『じぇーけー』ってやつ?」
「あはは。君、マセてるね」
「『マセてる』って、どういう意味?」
「生意気ってこと」
お姉ちゃんは笑ってそう言った。なんか悪口言われたっぽいのに、別にそんなに嫌じゃないのが不思議だ。クラスの女子にもよく生意気と怒られるけど、それとは全く違って聞こえる。
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