君の半分

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 声に驚いたように顔をあげて、少し間をおいてから小さく頷くのもいつも通り。もう半年近くも同じことをしているのだから、さすがに驚くのはよしてほしかった。でも、ちょっとしたことで驚いたり慌てたりするところは彼女らしいとも思う。 「今日は何?」 「今度の社会科見学の、行き先のアンケートの集計」 「ああ、あれね」  にこやかに頷きながら、内心ではおかしいなと思う。  社会科見学のために、クラスで二人の実行委員を選出していた。その社会科見学実行委員と呼ばれる二人が、これまで何か仕事をしているところを見たことがない。きっとこれがその数少ない仕事の一つなのだろう。それなのにその二人は、彼女に仕事を頼んでしまっている。   そしてその仕事を、彼女は当然のように一人でやっている。 「半分、手伝おうか?」 「……お願いします」  彼女がこう言ってくれるようになったのは、案外最近だ。最初の頃は手伝わせてもらえないどころか、本来なら僕がやるべき仕事すら、彼女は代わりにやっていた。もっとも、そんなことがあったから、余計に彼女のことを気にしているのかもしれないけれど。 「注意してほしいことがあって」 「何かな?」  彼女はたいてい、自分で作ったルールに沿って仕事を進めている。  そのルールは必要でないこともあるけれど、彼女の仕事を手伝う場合にはそれを守ることがとても重要だ。     
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