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口数が少なく、端整な顔立ちをした彼女は、それだけで近寄りがたい雰囲気を醸し出している。
さらには、潔癖症だと噂に聞いていた。他人に触れたり、触れられたりすることを極端に避けていると。
だから、偶然とはいえ、触れてしまったことについて謝ったのだ。
「ごめんね、変な話を聞かせてしまって」
「いえ。そういう理由なら、なおさらすみませんでした」
彼女とは、せいぜい顔見知り程度の間柄でしかない。
場所を問わず、接触するのは特別な相手でなければならないと考える彼女にとっては、やはり不快だっただろう。
「んー……?」
彼女は軽く首を傾げ、言った。
「いや、思ったより平気だった」
「え?」
「……何でかな」
困ったように笑う瞳に、胸がざわつく。その日以来、わたしは他人に触れられなくなった。それがわたしの、最も厄介な恋のはじまりだった。
end.
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