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半分堂
細くて暗く、まるで迷路のような路地の先。
ジメジメとしていて誰からも忘れ去られたような、そんな場所にその店はあった。
……どうして私はここにいるのだろう……。
確実に私の意思でここまで来たはずなのに、私の意思とは違う何か別のものに導かれて来たような不思議な感じがした。
『半分堂』
その店の木製の赤い看板にはそう書いてあった。
周りの建物と比べると明らかに浮いているレトロな雰囲気があるそのお店。
しかし、お店にも、そしてお店の扉にも窓がないため中の様子が一切分からなかった。
何のお店なのかさえも分からなかったが、気が付くと私は扉を開け、お店の中に入っていた。
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