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「岡田のダンナ、あいつ(ソニア)の言う事は聞いといた方がいいぜ、あんな姿をしてるが、おっかねぇ女だからな……」
「誰が、恐い女ですって!!、レディーに対して失礼よ!!」
多分、スマホの電話口から漏れ聞こえたのだろ、ソニアの怒鳴り声がスピーカー越しに鳴り響く。岡田は、思わずスマホを耳から離してしまっていた。その隙をジュウベイは見逃さなかった。
素早く拳銃の銃身を握り込み作動を封じると、拳銃を軸にして岡田の体を1回転させ彼から拳銃を奪い取ってしまった。
「岡田のダンナ、悪いがバラけるぜ」
ジュウベイは、そう言うと拳銃をあっという間に分解して床に落とした。綺麗に分解された拳銃は原形をとどめていない。
「俺が追わなくても、誰かが貴様を逮捕するだろうよ」
そんな捨てセリフを吐く、岡田のスマホに新たに着信がある。画面に視線を走らせた彼は眉根を歪ませる。
「あっ、課長!!、今取り込み中です、後で……」
「岡田君、彼らに手出しは無用だ、仕事が終わり次第速やかに帰って頂きたまえ」
「しかし、課長!!」
「岡田君、警視庁上層部と永田町の判断だと言えば、キミにも分かるだろう……」
この時、岡田は悟った。彼らは、そういうレベルの人間である事を……、政治の暗部を垣間見た気がした岡田は背筋に冷たいモノが走る。
「まぁ、そういうこったから、よろしくな!!」
ジュウベイは、そう言って、岡田の肩をポンと叩き、静かに立ち去って行く。
フロアーの出入口で、ソニアと合流したジュウベイはビルを出て渋谷の人混みの中に消えていった。
呆然と2人を見送った、岡田は2度と一緒に仕事はしたくないとの思いを強くしていたが、後に2人とチームを組んで、数々の修羅場をくぐり抜ける事になろうとは、この時の彼は知るよしもなかった。
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