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渋谷の地形は、読んで字の如く谷間の地形だ。トンネルを出て銀座線渋谷駅までの300メートルは繁華街のある谷底に対して地下鉄は高架上を走る。勝負はこの地上部分のわずかな間につけなければなかった。
「ヤツが気付く前に叩く」
「叩くと言うものの、ジュウベイ貴様に勝算はあるのか……」
ジュウベイの自信有り気な態度に岡田は訝しげな表情を顔一杯に表し疑問を呈した。
「岡田のダンナ、納得いかねぇって感じの顔だな……」
ジュウベイは顎ひげを擦りながら岡田の方を見て、ニヤニヤと薄気味悪い笑みを浮かべている。
「資料は読ませて貰った、信じられんな、"邪眼"なんてもんが、この世に存在する事が……」
「存在してるぜ、ココにな」
ジュウベイは左手の親指で自らの眼帯に覆われた左目を差し示し、ニヤリと笑う。
「非科学的過ぎる……、ソイツは呪いの領域だぞ」
岡田の納得がいかないといった態度にジュウベイは大笑いしながら答える。
「世の中、人間(ヒト)様の計算通りには物事は進まねぇよ、アンタも一流大学を出てんだから分かるだろ!?」
ジュウベイの言い草に少しムッとした表情の岡田は素早く切り返し答える。
「一流だろが、ダメなヤツはダメだ!!、貴様の様な殺し屋に説教されるとはな……」
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