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だから、わたしはそれも当然のことだと思ったの。
ねえさんにはじめて彼を紹介されたのは、二年前。街で偶然、彼と腕を組んで歩いているねえさんを見かけたとき。声をかけたら、ふたりは一瞬ひどく驚いた顔をしたけれど、すぐに挨拶をしてくれた。
わたしとねえさんはよくよく趣味が合うらしく、わたしは彼のことをいたく気に入った。
「ひどいねえさん、こんなステキなひと、紹介してくれないなんて……」
わたしのちょっとした恨みごとに、ねえさんは困ったような薄い微笑みを浮かべた。ちいさなころから変わらない、わたしのわがままを受け入れてくれる合図。
それから、ねえさんと彼の間でどんな話し合いがもたれたのかはわからない。家に帰ってきたねえさんは、一日ずつ交互に彼とデートすることを提案してくれた。そう、ハンドバックやコートとおなじように。
月水金日曜はわたし、火木土曜はねえさん。
彼がねえさんと一緒にいるとき、どんなふうに過ごしているのかすこし気になったけれど、彼はわたしにやさしくしてくれたから、次第にどうでもよくなっていった。
半年ほどの間、わたしたちはとてもうまくいっていた。それなのに、困ったことが起こってしまった。わたしが彼のこどもを妊娠したのだ。
わたしが妊娠したことを告げると、彼は真っ青になって黙り込んでしまった。やさしいけれど、ハプニングに弱い彼らしい反応だった。
だからわたしは、困り果ててねえさんに相談した。
「ねえさん、どうしよう? 人間ははんぶんこにはできないわ……」
日本では、三人で結婚することはできない。一夫多妻の国なら、ねえさんが第二夫人になれたのに。はじめての事態に途方に暮れているわたしに、ねえさんはいつものようにひっそりと笑った。
その顔色はいっそう白く、まるで血の通っていない人形のように見えた。
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