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高校に入学して三日目の六時限目は、
一年全員での校歌練習だった。
本気で歌っている生徒は一人もいない。
それは、
二五〇人くらいいながら、
さほど体育館内に響かない歌声で明らかだ。
目立つのが苦手で、
容姿も体力も平凡以下の僕は、
三割くらいの力で歌い終わると、
時間の無駄使いにしか思えない授業にこっそりと溜め息をついた。
「お前さあ」
隣に立つクラスメイトが、
突然小声で話しかけてきた。
一度も話したことがない相手に、
僕はビクッと肩を強張らせた。
僕は彼の苗字を二日目で覚えたが、
彼は僕の苗字を知らないだろう。
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