嘘吐きは呪いの始まり

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「被害者は二十代の男性」 「またこのパターンか」 この辺りで相次ぐ不審死があった。 被害者は若い男性ばかり。 最初の事件はもう十年も前。 この事件には不可解な点が多い。 まず、被害者は一様に「腹部の傷が致命傷となっていること」 そしてそれは「まるで腹の中で何かを探しているような傷になっていること」 そして「被害者の年齢が、段々と上がっていっていること」 最初の被害者はまだ少年であった。 だが、何よりも不可解ーーというよりも理解が出来ないものがある。 ーー現場からは必ず、羊水と、へその緒の一部。そして下水の成分が採取されること。 ーー被害者は必ず、同じアパートの部屋に住んだ経験があること。 「不気味ですよね、この事件。ああ、そういえばこの部屋って昔、女がトイレで出産して、そのまま子供を殺して便器から流そうとした事件もありましたよね。女は子供の父親に捨てられて心神喪失だったらしいですけど……呪われてるんですかねえ」 嘘吐きは呪いの始まり。 あたしは嘘は嫌いだわ。 だって、呪いなんてーー。 終
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