ひらひら

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〈笑っちゃうなぁ。どうせ、おっきなビニールとかなんだよね〉  空もかなり暗くなった。少しのんびりし過ぎたかと思いながら携帯で時間を確認する。それから改めて山へと目を向けた。 「あれ?」  目に入った光景に疑問を感じ、思わず声が出た。目を瞬かせ、それでも見間違いではないかと目を擦る。  山が白い。そう感じる。  本来ならば、黒く沈んでいる、山が、白い。  白が、揺らいで見える。  目をすがめると、小さいが、先程と同じように、白い物が舞っていた。  ひらひら  ひらひら  風に吹かれて揺れている。  一瞬前には大きな物が一つだけだったのに、今は、山の中腹から山頂に向けて、無数の小さな物が列をなしている。 〈何? どういうこと? 一体なんなの〉 嫌な感覚が身体に生じる。 急に身体が冷たくなった気がした。 次いで頭に浮かんだ。 これは見てはいけない物だと。 目を逸らせなければいけないと身体の方は感じているが、頭の方は好奇心が勝り、私は身動きが取れなくなった。 嫌に喉が乾く。そう感じた時に自分の耳の奥に大きな音が響いた。 大勢の人の声。 土を踏みしめる足音。 嘶き声。 何かがぶつかる音。 それに、おそらくは断末魔。     
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