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あれは、確か高校に入ってすぐのことだったと思う。
パパとママが私をあるパーティーに連れて行った。パーティーの準備は楽しかったけど、すごく大変だった。
ママと私は、連日デパート巡りで、念入りにドレスを選ばなければならなかった。
もちろん、ドレスに会わせてバッグや靴、ママは、どさくさに紛れて高そうなダイヤのネックレスまで買っていた。
普段はケチで結構口うるさいパパがその時は何にも言わなかった。
ママは念のために、と言って着物も買っていた。
当日の気分で何を着るか決めたいんだって。
そりゃあ、私も少しはクールなところに出入りしたことがあったつもりだったけど、そのパーティーは何だかすごかった。
ハリウッド映画でしか見た事がないようなリムジンが次々と会場の車寄せに止まってくる。
車から降りて見上げるとれんが造りの重厚な建物が目の前に迫った。まるで明治時代の洋館のような華麗さだ。階段を登って、入り口に立った。
石の柱が軒を支える。繊細な模様が施された樫の木の扉が私たちを迎え入れた。
パパは次々入ってくるリムジンを見ては苦虫をかみつぶしたような顔をしていた。
だって、ベンツとかロールスロイスとかばっかで、戸川の車は全然なかったから。
どう考えても、うちのリムジンが一番しょぼく見えた。でも、もちろんパパは他の車に乗るわけにはいかなかった。
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