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私と先生の関係が諭くんに知られてしまった今、彼が誰かにバラしてしまうのではないかと思うと、必然的に警戒してしまう。
それでも、諭くんはそのようなことをする素振りを見せなかった。
“どうしてって、いい加減気付けよ!こうやって忠告するのも、キスをするのも……俺があやちゃんのことをどう思っているかも!”
私の思い込みでなければ、諭くんは私のことが……
「……おい、彩音。さっきからボーッとしてどうしたんだよ」
「……あ!すみません…」
いけない。考えごとをしてしまった。先生が仕事終わりに会いに来てくれたというのに……。
夜だし、アパートの駐車場だし、車の中だから誰かに見られるなんてことはないと思うけれど、もし誰かに見られたら……と考えてしまう。
だからと言って、諭くんのことは先生に言えない。
そんな私の態度に、先生は釈然としない表情を浮かべるけれど、無理にどうしたのかと尋ねようとはしない。
おそらく先生のことだから、何かしら気付いているだろうけど……。
「そういえば、夏休み中ならいつでも休み取れるから、泊まりがけでどこか遠くまで行かないか?」
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