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突然のお誘いにあっさりとモヤが晴れて心が踊る私は、なんて単純だろう。
「いいんですか?!」
「いいよ。そんなときじゃないと連れてってやれねえし」
「やった!」
貴重な休みを私のために時間を使ってくれることがうれしいし、遠出なら誰かに見付かる心配もない。
「そしたら、どこに行きますか?」
「そうだなぁ。彩音はどこ行きたい?」
「あの、先生がよければ私、水族館に行きたいです」
「……水族館?」
水族館へは前から行きたいと思っていた。水族館デートというものに密かに憧れていたけれど、
「あの、ダメでしたか?水族館……ダメだったら別にいいですよ」
「……ダメじゃないから遠慮するな。水族館な。調べておくよ」
気のせいか、水族館と言った時に先生が一瞬切なげな表情をした気がしたけれど、いつもみたいに笑って私の頭を撫でてくれた。
「それまで体調崩すなよ?ちゃんと飯食って、水飲んで、あとはよく寝ろ」
「はーい」
先生が好き。やっぱり私は、この恋を守りたい。
“あやちゃんに桜井先生を守れるの?”
何があっても先生の傍にいたい。そう思うことは私のわがままだろうか。
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