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人王の中では、その持っている国の民の意見を聞き、よりよい国にしようと頑張っている王がいた。その考え方が気に入っていて、何もしなくていいと思った数年後、魔物の中に潜り込み、いろいろな話を聞いていた。その中で、面白い情報を持っている者がいた。それが、今魔王に仕える情報旅魔である“アマシュリ”という男だった。
人間で言う15歳くらいの若い容姿をしたアマシュリは、記憶力のいい男だった。年に数回しか魔王の姿で城から出ない、俺の姿を覚えていた。特徴を口で伝えれるくらいに。そんな魔王の話を聞いているうちに、アマシュリを気に入っていた。
しかも城から出てもしゃべることをあまりしないため、魔王の声を覚えている者などそう多くはない。それなのに、俺が別の魔物のフリをして話している声で、魔王だと気付いた。魔王だとバレずに外に出るため、口を開くのを嫌う魔王というのを印象付けたというのに、少し話しただけで気付くということは、相当な観察力があると思い、城に招待した。
束縛されるのが嫌いな旅人としてみれば、仕えることなんて御免だと思っていたし、実際アマシュリもそう言った。
『別に束縛し、傍に置いておくつもりはない。そんなことをしたら情報が入らなくなるから。だから、自由にしていい。但し、情報がほしいときに呼ぶ。相当急いでいないときはすぐに来いなんて無茶は言わないし、来れないときはそう言っていい。そういうスタンスをする者を嫌うか?』
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