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見えないだろうがうっすらとほほ笑み返事をする。
再度シェイルと対峙する。不気味な微笑をこちらに一度移したかと思えば、すぐにリルとシュンリンのほうへと視線が移る。右手が動き、自らの髪を一本抜いて剣の姿へと変える。剣先を向けたのは、シュンリンのほうだった。
今の状態が不利にしかならないと感じたのか、リルから体を離すように少し前のめりになり、背に小さな翼を出す。確認すると、リルはゆっくりとシュンリンから手を離した。
一瞬高度が下がったが、小さかった翼を徐々に大きくし、自らの体を支えながらも、ゆっくりと後退し高度も下げていく。それでも剣先はシュンリンの元だった。
少し勢いをつけるとシュンリンの元へと一直線に飛ぶシェイルに、リルがすぐに腕を伸ばしてシェイルのほうへと勢いの強い風が送り込む。体勢を崩したシェイルは、シュンリンからリルへと向きを変え、両腕で自らの顔をかばう。その腕や体には、いくつもの細い切り傷が刻まれる。リルの得意な鎌鼬。
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