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力強く何かにシェイルがぶつかる音がした。一瞬閉じていた眼を開けると、そこには先ほどルーフォンたちを守った壁が新たに現れる。隣でルーフォンとアマシュリ魔術を唱える。唱えているということは、この壁はルーフォンの仕業ではない。
先ほどと同じようにシェイルは壁を壊してくる。しかしそれと同時にルーフォンの呪文は唱え終える。
現れたのは、数個の炎の玉。そのいくつもの炎が、シェイルに向かって飛んでゆく。反射的に腕で防御するものの、炎の玉はしっかりとシェイルの体を燃やしていた。炎が上がるほどのものではないものの、負傷を与える程度にはなる。アマシュリの魔術が唱え終わると、身が軽くなり同時に横からリベリオによって、三人一緒に持ちあげられる。
シェイルから距離を取り、上昇するが視線はこちらから外れることはなかった。翼が出てはすぐにこちらに向かって飛び立ってくる。
逃げるように移動するものの、標的が変わることはない。実際今まともに動けるほど魔力が残っているのはリベリオ位だ。リルもシュンリンもかなり魔力を消費しているようで、シュンリンは飛び立つこともできず、リルは飛び立ち距離を測っているようにも見えた。
シェイルの攻撃をよけながらもリベリオが問う。
「さっきの蔓は魔術か」
「いや、何もしていない。たぶんヴィンスじゃないかと」
「…そうか」
ルーフォンの答えに、どこかリベリオはうれしそうに、頬を上げていた。
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