第36話

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「ようやく戻りましたかその御姿に。得意の無属性。最強と言われている属性」 「反動で自分の魔力も無になるみたいだがな!」  距離を縮めようとするのを一度やめ、地面に左手をつけ沈める。掴んだ二本の鎖を拾い、持ち上げるように突き出す。  召喚される狼二匹は、何を命令することなくシェイルに向かって牙をむいて走り出す。もう一度地に手を付け、探し物を呼び出すように探す。何度もさまよわせ、ようやくつかんだ手。それを掴みあげ、力いっぱい引き出す。  身長が足りず、引き揚げきれなかった腰から下を、自らの逆の手が地面を押し出し、土から体全部を出してくる。 「…嘘…」  後ろの方から、リベリオの手当てをしていたルーフォンとアマシュリの声が聞こえた。  手が止まり、視線が飛び出してきた者へと止まる。 「ヴィンス、リベリオを頼んだ」 「お任せを。魔王もご無事で」  呼び戻したヴィンスの背を叩き命令すると、いつもの表情でリベリオのほうへと走っていく。 「ルーフォン! 俺は、死んだものを蘇らせることはできない」 「…ああ。当たり前だ」  信じていたというように、ホッと安心しているルーフォンの表情を確認すると、すぐにシェイルへと向きなおす。     
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