第36話

5/6
前へ
/641ページ
次へ
 金属音が鳴り響き、剣同士がぶつかり合う。剣越しに睨み付け、お互いが譲ることはない。魔力をこめ、力を入れてくるシェイルに対抗する様に魔力をこめる。同時に足に力を入れ、剣を通してシェイルに重力の魔法をかける。  頭上から重圧に押しつぶす魔法。  それに耐えるシェイルだが、徐々に足元は力強い音がして地面を沈める。耐えるにはそれ相応の魔力が必要。確実に削られてきているシェイルの魔力で、どこまで持つか。あと、自分の魔力もどこまで持つかによって勝敗は変わってくる。  ぶつかり合っている剣が、一瞬光ったようにも見えた。反応が遅れ、剣を離して身を引いたが、剣を通して流れ込んでくる電流の速さには追い付かなかった。  身体が痺れ、剣を構えて立っているのが精いっぱいになる。  自分が動こうとする動きと、上手く体が合わない。  視界もうっすらと欠けてきては、自分の体力が限界に近づいてきていることに気付く。  狼二匹と、ヴィンスの呼び戻しにかなりの魔力を消耗してしまったようだ。  微かにかけた視界のなかで、シェイルの足元の地面が動いたのを捉えた。シェイルも気づくのが遅れ、動いた地面からは、先ほどの太い蔓が再度シェイルを襲う。  ヴィンスのほうを振り返ると、リベリオを治療しつつも、こちらに魔力を割いてきたのだ。先ほどの戦いの中、ヴィンスもそろそろ魔力に限界が来ているはずだ。 「こざかしいっ!」     
/641ページ

最初のコメントを投稿しよう!

109人が本棚に入れています
本棚に追加