第1話 海が結んだ縁

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倉田当麻(くらたとうま)とは幼馴染だ。 彼とは幼稚園の年長組の時に出会った。…この海で。 彼も、ご両親と来ていた。 仲良くなったきっかけは、 「ソイツ、お前の妹?お前と全然似てないな」 と彼が話しかけてきた事から始まった。 そう、あたしには二つ年下の妹がいる。 名前は萌恵(もえ)。 体が丈夫じゃない事もあり、肌が透き通るように白く、そしてか細い。 腰まで伸ばされた髪は、柔らかく艶々している。 大きな目と長い睫毛と眉、その全てが明るい茶色だ。 純日本産の筈だから、妹は色素が薄いのだろう。 小さな卵型の顔の輪郭。 妹はとびきり可愛らしかった。 あたしは真っ黒に日焼けして、髪も目も真っ黒だ。 バレー部に所属して鍛えてるのもあり、筋肉質だ。 髪は太くて固い。ついでに、眉も太い。 「お姉さんはりりしくて、妹さんは可愛らしい」 物心ついた時から、周りではそう評されている事も知っていた。 当麻の言葉には、私達は似ていないね、 ただその事実だけを言っているだけ。 自然にそう感じた。 だから、ニッコリと笑顔で 「うん!そうなんだ。萌恵、可愛いでしょ!」 と堂々と話せた。 親同士もすぐに意気投合する。 聞けば、 1キロほど離れた場所に住んでいる事が判明した。 体の弱い萌恵を考慮し、 私達は海へ入る事はほとんどなく、砂浜でよく遊んだものだ。 大きくなるにつれて、 念の為、 浮き輪を身に着けて足首まで浸かるようになっていった。 あたしたちは、いつも三人一緒だった。 いつからだろう? 二人が海辺で遊ぶのを、 遠くから眺めているだけになったのは…。 あたしはいつも、海を見ていた。
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