第3話 萌恵は益々可愛くなる

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第3話 萌恵は益々可愛くなる

「当麻君と萌恵、お似合いだけれども。 まだ未成年だから何かあったら大変だわ! あちらのご両親とも相談したのだけど。 萌恵の付き添い、頼むわね」 母はある日、こんな事を言ってきた。 萌恵が15歳の誕生日を迎えた次の日だ。 何故そんな話になったのか、皆目見当もつかないが 「はい、任せて!」 と笑顔で答えた。 なんだかよく分からないけれど、 当麻のご両親と相談したのなら 『双方の両親公認の仲。二人が大人になるまで見守りましょう』 となったのだろう。 はいはい、だ。 当麻の所属している水泳部は、日曜日は朝練だけ。 あたしは日曜日は部活はお休み。 これだから良いようなものの、だ。 しかし、付き添いねぇ。監視役じゃん。なんか、小姑みたい。 …正直、そんな役目なんかやりたくなんかない。 だって二人の邪魔してるみたいだし。 それに、なんだかね… 幸せそうな二人を見てると、胸の奥がギュッて痛くなるんだ。 そして、涙が溢れそうになるの…。 馬鹿みたい、だよね。 あたしが恋なんかしたって、全部失恋確定じゃん…。 こんな男みたいな女の子、好かれた方が迷惑だっつーの。 だからね、この気持ち… 絶対に当麻と萌恵には知られたらいけないんだ。 アイツがあたしに望んでいるのは、男友達みたいな友情。 だからあたしも、その望みに答えるべく頑張るんだ。 あたしは決意を新たにした。
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