第3話 萌恵は益々可愛くなる

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ある日突然、部活を終えて帰宅したあたしに、 萌恵は恥ずかしそうに頬を染めて あたしに近寄ってくる。 …萌恵、可愛いなぁ。益々磨きがかかると言うか… 蕾が花を開かせるような、儚げだけれど生き生きした 相反する危うい美しさだ。 「なぁに、どうしたの?」 照れて言い難そうにしている萌恵に、 優しく促してみた。 「あのね、お姉ちゃん」 萌恵は思い切ったように口を開く。 「当麻の事、好きになっても構わない?」 「…え…」 予想もしなかった萌恵の台詞に、頭がフリーズした。 「お姉ちゃん?」 不安そうに話しかける萌恵の声で、すぐに現実に返った私は、 慌てて笑顔を作り上げると 「どうしてあたしに許可がいるのよ?アイツは幼馴染、それだけよ」 と萌恵の右肩を軽く叩いた。 「…でも…」 萌恵は不安そうに何か言いかけようとする。 だが、すぐに笑顔になり、 「有難う」 と言ってあたしに微笑んだ。 …ズキン… 胸が痛い。 もし、あたしがダメ!と言っても、変わらないよ、現実は。 人を好きになる気持ちなんて、 誰にも止められないもの。 それに、アイツの心はとっくに萌恵にいってるじゃないか! …海が、見たくなった。
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